全相続人が 土地の相続を放棄したら?
民法 第951条
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
と規定されています。
相続財産が法人になる?
と言われても、意味が分かりません。
が 理解することを諦めましょう。
完璧に理解しても、
使うことがあまりないであろう知識ですので。
取り合えず解説:
所有者が亡くなって、相続人がいなければ、相続財産を管理する人がいなくなります。
このため、いったん誰の物でもない特別財産として管理します。
この際、民法は、財産に法人格を与えることにしています(相続財産法人)。
法人というのは、法が与えた「人格」という意味です。
「人」と同様、権利や義務の主体となります。
とはいえ、法人格は自然人が関わって初めて主体として機能します。
関わる人のことを相続財産管理人といいます。
相続財産管理人の指揮のもと、相続財産の処分を実行していくことになります。
相続人全員が相続放棄をした場合は「相続人不存在」となり、
土地などの相続財産はいったん法人化されます。
しかし、この時点で、自動的に管理人が決まるわけではなく、
家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任するための申し立てをし、
財産の管理者を選任してもらう必要があります。
民法 第940条1項では
相続の放棄をした者は、
その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、
相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、
自己の財産におけるのと同一の注意をもって、
その財産を保存しなければならない。
と定められています
したがって、相続人全員が相続放棄をしたとしても、
相続財産管理人が選定されるまでは、
法定相続人全員に土地の管理責任が残ります。