民法を勉強していたときに習った判例をご紹介します。
平成27年 行政書士試験問題(問35)
<質問>『私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。』
<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。
Q.上記の回答は 正しいか正しくないか?
A.正しくない。
事実上の夫婦共同生活関係にある者が、
婚姻意思を有し、
その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、
届書の受理された当時意識を失つていたとしても、
その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、
右届書の受理により婚姻は有効に成立する。
(昭和41(オ)1317)
という判例が出ています。
この判例のポイントは
1.婚姻届 作成時点において
男女ともに、婚姻の意思を有していた
2.婚姻届 受理時点において
その受理前に翻意したなどの特段の事情が無い
ということが明示されていること、
及び
3.意識を失った者は生存していること です。